反復的な図柄を特徴とする絵画の総称。.装飾美術では昔から広く用いられている技法だが、現代美術の問題として扱う場合には、大きく二つの傾向に分けて考えることができる。ひとつはキルト、タペストリー、カーペットなどの工芸品に用いられる幾何学的な図柄を絵画の構図に取り入れたもので、H・マティスの切り紙絵はあまりにも著名。より最近では、D・ホックニーの絵画にも同種の傾向が窺われる。もうひとつはS・アンタイが多用した「プリアージュ」と呼ばれる技法で、着色した後に折りたたまれた布を開くことによって、布にアドホックな図柄を定着させることを意図したこの試みは、シュルレアリスムのオートマティズム理論から強く影響された一方で、シュポール/シュルファスの絵画実践に大きな影響を与えることとなった。1960年代に萌芽を見せたこの装飾的な動向は、1970年代にはさらに隆盛を極めたのだが、その底流にはフォーマリズム的な規範への反発が潜んでいることもあって、美的な評価としては二極化する傾向がある。
(暮沢剛巳)
関連URL
●H・マティス http://www.artloft.com/matisse.htm
●D・ホックニー http://SunSITE.sut.ac.jp/wm/paint/auth/hockney/
●S・アンタイ http://www.artnet.com/library/03/0365/T036583.asp
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