オフィスビルの吹き抜けになったエントランスホールに、直径約8mほどの真っ白のレース編み。ブルーの照明が当てられ、それだけでも不思議な光景なのだが、60cmほどの中央の穴のような空間に稲垣智子がおもむろに座り、レース編みの続きを黙々と始める。30分くらいたつと身体が隠れるほどに編み進み、頭まですっぽり包むほどに編み上げて終了。人工的な建材や照明に、会社帰りのサラリーマンたちと淡々としているが適度な緊張感のある手編みのパフォーマンスのギャップが面白かった。 [9月26日(木) 原久子]