中村一美の個展が公立美術館で開かれるのは喜ばしい反面、それが首都圏から離れた美術館の単館開催であるのはなんとも歯がゆい。出品は1980年前後のドローイングから今年の最新作まで30点余りのタブローが中心だが、年代的にはばらつきがある。タブローに関しては80年代なかばと90年代末以降に偏り、その間の作品はほとんど出てない。しかも前者は油彩が中心なのに、後者はアクリルが中心。もちろんイメージも異なる。80年代作品は見慣れているせいもあるが、構成も色彩も整っている印象があるのに、近作はいってしまえば作法からはずれ、破天荒といえるほど。むしろ、どこまで破天荒でいながら絵画として破綻することなく、ギリギリのところで成立するのかを試しているかのようでもある。だとすれば、壮絶な闘いだ。
[10月4日(金) 村田真]
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