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展覧会レビュー

村田真 原久子

CAS Academy Awards 2003
6/2〜19 CAS[大阪]
 
  昨年からはじまったこのアワードは、芸術・美術系学生/院生らを対象にした短編ビデオ作品を募ったコンクールだ。アニメーションあり、実写あり。アニメ−ションはほのぼの系が多いが、スピーディーかつ笑わせてくれるものもあった。実写のものは60年代後半からあった実験映像風だが、撮影のハードが手軽になったゆえにできる部分も感じられる。入賞作の上映はそれぞれが約5分のものなので、通しで約50分。ビデオ作品は終了まで見ずに出てしまうこともあるが、途中で帰ろうなんてことは思わなかった。
[6月4日(水) 原久子]
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クリスト&ジャンヌ・クロード「ザ・ゲート」
6/7〜21 MDSG[東京]
 
 
クリスト&ジャンヌ・クロード「ザ・ゲート」
1995年のベルリンの「包まれたライヒスターク」以来パッとしなかったクリスト&ジャンヌ・クロードだが、2年後の2005年2月、ニューヨークで「ザ・ゲート」が実現する運びになった。これは、セントラルパークの遊歩道37キロに高さ4.9メートルのゲート7500本を設置し、サフラン色の布を暖簾のように垂らすというプロジェクト。1979年に立案し、ようやくブルームバーグ現市長のもとで日の目を見ることになったもの。ニューヨーク在住のクリスト夫妻にとっては初の時差ボケのないプロジェクトとなる。展示はプロジェクトのためのドローイング、版画、クリスト夫妻のインタヴュー映像など。この日は午前10時からクリスト夫妻との電話による記者会見がおこなわれ、相変わらず数字にこだわる細心ぶりと、テコでも動かない頑固ぶりを披瀝した。ところで、会場のMDSGは三宅デザイン事務所が運営するギャラリー。「布」つながりなんですね。
[6月6日(金) 村田真]
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妹島和世+西沢立衛/SANAA展
5/24〜7/26 ギャラリー間[東京]
 
 
妹島和世+西沢立衛/SANAA展
SANAAは妹島和世と西沢立衛によって1995年に設立された建築設計事務所。ガラスとか樹脂などを素材に幾何学的形態によって構成し、あまり重量感や存在感を感じさせない建築を設計している。金沢21世紀美術館、オランダのスタッドシアター、トレド美術館ガラスセンターなど現在進行中のプロジェクトをマケットで紹介。
[6月6日(金) 村田真]
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国連少年
3/23 〜6/8 水戸芸術館 [茨城]
 
 
国連少年
国連少年
椿昇が全体を企画。映画製作などにも似ているのは、パートごとにさまざまなクリエイターたちがかかわって全体を作ってゆくあたり。入口から出口まで順に進んで行く、時間軸だけではなく空間軸をも通して能動的に思考することを強いられる。ゲーム的な要素を含んだ所謂インタラクティヴな体験型作品といったものを少し想像していたが、そうではなかった。訪れた近隣の高校生の口コミで、クラス単位での鑑賞会を企画する学校もあったという。
[6月6日(金) 原久子]
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イ・ブル展《世界の舞台》
  6/7〜7/13 国際交流基金フォーラム[東京]
 
 
イ・ブル展《世界の舞台》
韓国現代アート界のホープのひとりイ・ブルの個展。繊細で優雅なラインのドローイングが両脇に展示された導入部。そして、いったん狭まった暗い通路を通り抜けると天井の高い展示室につながっている。解体されたサイボーグあるいはロボットの身体の部分と内部の配線ケーブルがからみあったような造形は、巨大なシャンデリアのようにも見える。黒いカーペットには靴を脱いで上がるようになっているのは、作品の下に仰向けに寝転んで鑑賞することも可、ということらしかった(東京展の後、倉敷市の大原美術館でも開催予定)。
[6月6日(金) 原久子]

イ・ブルって名前からしてすごい。聞いただけでブルッちゃう感じ。カタログによると、「昨年は韓国の美術関係者が選ぶ35〜45才代作家の第一位に選ばれました」とあるけど、彼女が第1位に選ばれたことより、韓国ではこのような美術家のランクづけが世代別におこなわれていることのほうに衝撃をおぼえる。それに比べれば日本の美術界はだれかがいったように、まことに「お花畑状態」である。作品は、あっけないほど少ない。手前の部屋には左右の壁に2種類のドローイングのシリーズが展示され、奥の部屋には天井から吊るされたインスタレーションが2点。1点は、エイリアンを思わせる分節化された有機的形態の《サイレーン》、もう1点が今回のための新作で、やはり有機的形態と球体をチューブでつないだ《世界の舞台》だ。映画『エイリアン』シリーズの裏テーマがフェミニズムだったように、これらの作品にも女性性が読み取れるかもしれないし、各形態がチューブによって連動している《世界の舞台》は、まさにワールド・ワイド・ウェブを視覚化したような印象だ。でもそんな意味よりも、作品の形態そのものが、映画やマンガなどのサブカルチャー、サイボーグや解剖学といった科学、あるいはボッスやハンス・ベルメールなどの美術史から合成されたハイブリッドな「モンスター」であることのほうが興味深い。
[6月13日(金) 村田真]
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Another World Museum
  6/6〜7/4 ギャラリーSIDE2[東京]
 
  アーティストの篠田太郎のキュレーションによる展覧会。サキサトム、八谷和彦、谷山恭子ほか、海外作家も含め6名のアーティストたちが参加している。現実とフィクションの境界にあってさまざまなものを想像させるような作品を紹介。画廊そのものの広さを念頭に割り出した構成なのかもしれないが、コンパクトな作品のみだが、「山椒は小粒でピリリと辛い」といった作品ばかり。ベルギーのSven Augustijnenの窓から見える他人の部屋の内部の出来事を撮った映像作品は、ほんものの盗み撮りか、フィクションなのかなんなのか知らないけれど傑作でした。全部観られなかったので、ぜひ続きをどこかで観たい。
[6月6日(金) 原久子]
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塚田守展
  6/6〜28 小山登美夫ギャラリー[東京]
 
  アーティスト自身の知人をモデルにとったポートレイト、ドラマ仕立ての盲人を登場させた作品、双子の青年の役割を入れ替えながら撮った作品。いずれも見る側と見られる側の視線の移動や方向を追って観ると興味深い。
[6月7日(土) 原久子]
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