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コンポジション

Composition
更新日
2024年03月11日

「構造、組立」を意味する言葉であるが、美術用語としては「構図」とされる。語源はラテン語の「構造(Compositio)」。コンポジションという言葉自体、絵画はもちろん文学、建築、音楽などさまざまな芸術で使用されるが、「構図」という意味でコンポジションを捉える場合、主に絵画などの平面的造形芸術における画面構成を意味する。美術におけるコンポジションの意味を遡ると、基本的に古代から「組立、組み合わせ」というような意味で認識され、中世以降もさして変化がないが、17世紀頃になると次のように「配置」との同意化がうかがえる。例えばフランシスクス・ユニウスは、1638年に物した『古代人の絵画』において、絵画の五大要素に「色彩」「運動」「着想」「均衡」「配置」を挙げ、その「配置」、「作品全体を秩序づけること」は、古代の絵画におけるコンポシティオ(構造)とほぼ同意で用いられている。このように長い間、コンポジションは、比例や均衡、調和などの美的形式原理に基づくものであり、作品の統一性を支えるものとされてきた。また現代においては抽象絵画においてカンディンスキーなどによって音楽の影響からコンポジションが使用されているが、これは既述の美的形式原理による伝統的なコンポジションの意味合いを含むものではない。

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