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ニューヨーク近代美術館

Museum of Modern Art(MoMA)
更新日
2024年03月11日

ニューヨーク市にある、20世紀美術を中心に収蔵する近現代美術専門の美術館。通称「MoMA(モマ)」。分館として、2002年から04年にかけてマンハッタンの本館が工事されていたときに利用されていた施設を転用したMoMA QNS(クイーンズ)と、実験的な現代美術を扱うMoMA PS1がある。本館は、建築家・谷口吉生の設計による改修工事を経て04年に再オープンした。美術館は、コレクターであったL・P・ブリス、M・Q・サリヴァン、A・A・ロックフェラーの三人の女性により1920年代後半に発案され、29年にアルフレッド・バーJr.を初代館長として発足。バーはそれまでの絵画、彫刻に加え、建築、デザイン、写真、映画などの複数部門による構成案を提出し、従来美術館の収集物とは見なされていなかった分野の体系的なコレクションにも乗り出した。コレクターからの寄贈も多く、20世紀美術では随一の質と量を誇る同館のコレクションは、しばしば現代芸術の正典(カノン)として機能するものである。また、バーやW・ルービンによる大規模な企画展と、それに併せて出版されるカタログの諸論文は、現代美術史の価値体系に大きな影響力を及ぼすものであった。彼らの姿勢は、巨匠や傑作、ヨーロッパの前衛芸術に重きを置く態度によって共通しているが、近年では、MoMAが構築した体系性や近代主義的な文脈の重視に反対する修正主義的な試みも少なからず存在する。

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補足情報

参考文献

「ニューヨーク近代美術館」展カタログ,高階秀爾、本江邦夫監修,ニューヨーク近代美術館展実行委員会,1993
『ニューヨーク近代美術館 1980年以降の現代アート250作品ガイド(日本語版)』,レベッカ・ロバーツ編(五十殿ひろ美訳、中野吉郎監修),ミュージアム図書,2008