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ポンピドゥー・センター

Centre National d'Art et de Culture Georges Pompidou(仏)
更新日
2024年03月11日

パリにある国立のメディアテーク型複合文化センター。1977年開館。G・ポンピドゥー大統領の構想で69年12月に現代美術館と創作センターの機能を持つ複合文化センター設立が決定。レ・アール地区ボブールの旧パリ中央市場跡地の再開発計画としてJ・プルーヴェを審査委員長とする国際コンペで選ばれたR・ロジャースとR・ピアノ(構造はP・ライス)のハイテク・デザインは、複雑なプログラムを解決する一方で激しい景観論争を巻き起こした。国立近代美術館(MNAM)、公共情報図書館(BPI)、産業創造センター(CCI)、国立音響音楽研究所(IRCAM)で構成され、有期契約のインディペンデント・ディレクター制度を導入しフランスの官僚主義的な文化行政を革新した。特にパレ・ド・トーキョーにあった近代美術館を統合したMNAMは「マルセル・デュシャン」展(1977)を嚆矢に都市をテーマとした「パリ‐ニューヨーク」(1977)を始めとする都市展や「ルネ・マグリッド」 (1979)、「マン・レイ」(1981)、「ジャクソン・ポロック」(1982)など大回顧展で集客力を発揮し、新たな都市型美術館のありかたを示した。2010年5月にフランス北東部メス市の鉄道跡地に坂茂、ジャン・ド・ガスティーヌ設計の分館、ポンピドゥー・センター・メスが開館。ビルバオ・グッゲンハイム美術館の成功を範とするブランド美術館のツーリズム戦略の一例である。

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参考文献

『ポンピドゥー・センター物語』,岡部あおみ,紀伊国屋書店,1997
『進化する美術館』,カーステン・シュバート(松本永寿、小浜清子訳),玉川大学出版部,2004
Centre Pompidou,Trente Ans D’Histoire 1977-2007,Bernadette Dufrêne,Centre Georges Pompidou Service Commercial,2007
Le cas Beaubourg : Mécénat d’Etat et démocratisation de la culture,Laurent Fleury,Armand Colin,2007