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モノクローム/アクローム

Monochrome/Achrome
更新日
2024年03月11日

ギリシャ語の「モノ(単一の)クロモス(色彩)」が語源。映像分野などでは白黒と同義としてとらえられるが、美術分野では単色画、単彩画を意味する。歴史的にはカマイユと呼ばれる単色画法の代表であるイタリア・ルネサンス期の素描画や東洋の水墨画などがモノクロームの範疇に入れられる。近代絵画においてはK・マレーヴィチやA・ロトチェンコなど、シュプレマティズムや構成主義の作品がモノクローム絵画の先駆と考えられている。第二次大戦後には、彼らの影響を受けた作家がさまざまなかたちで作品を発表する。インターナショナル・クライン・ブルーと呼ばれる青色の顔料で描いたY・クラインの「モノクローム」シリーズ、L・フォンタナの「空間概念」シリーズ、A・ラインハートの「抽象絵画」シリーズなどはその代表的な作品である。また同時代、クラインの「モノクローム」に感化されたP・マンゾーニは「アクローム(非色)」と題したグラスファイバーやコットン・ボールで制作した連作を発表する。こうした一連の動向は絵の具の物質性、描かれる地のテクスチャーや微妙な素材感の違いを強調することで、ルネサンス以来の地と図を基盤とする再現的表象の伝統から絵画を解放し、その表層性の回復を目指す試みであった。

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補足情報

参考文献

Yves Klein: L’aventure monochrome,Denys Riout,Découvertes Gallimard,2006
La Couleur Seule,L’expérience du Monochrome,Maurice Besset,Art contemporain Lyon – Octobre des Arts,1988
La peinture monochrome: Histoire et archéologie d’un genre,Denys Riout,Folio essais,2006
Lucio Fontana: Between Utopia and Kitsch,Anthony White,The MIT Press,2011