バックナンバー
2017年12月15日号のバックナンバー
フォーカス
「2017年に印象に残った読みモノはなんですか?」
[2017年12月15日号]
2017年は重要な芸術論の邦訳や、多彩なアーティストブックが相次いで出版され、さまざまなかたちで、アートについて「読む」経験に触れる機会の多い年となりました。しかし、そもそも「読む」とはどういった行為なのでしょうか。私たちは普段、本やウェブサイトに載っている文字だけでなく、絵画や身体の動作、ひょっとしたら路傍の石ころから、なにかを「読んでいる」と言えるかもしれません。そこで、2017年にartscapeで取り上げたアーティストの方に、「2017年に印象に残った読みモノ」について質問しました。「読む」経験とは、私たちが思っている以上に豊かな行為なのかもしれません。
【プラハ】最新作『蟲』制作中!
──ヤン・シュヴァンクマイエルのスタジオをたずねて
[2017年12月15日号(ナガタタケシ)]
不思議の国のアリスを独自の脚色でパペット人形と実写を融合させて表現した映画『アリス』(1988)などで知られるチェコの現役シュルレアリスト、アニメーション・映画作家であるヤン・シュヴァンクマイエルが最新作の長編映画を遂に完成させようとしている。幸運にもその制作スタジオで、いくつかお話を伺うことができた。世界中の人々を魅了する作品群を生み出した創造の現場から、制作の裏側と気になる最新作についてレポートする。
キュレーターズノート
アッセンブリッジ・ナゴヤ 2017
[2017年12月15日号(吉田有里)]
2016年にスタートした、音楽と現代美術のフェスティバル「アッセンブリッジ・ナゴヤ」。
現代美術展では、まちの資源を生かし、まちを庭と見立て、回遊しながら作品とまちを楽しむことのできる展覧会を企画。作品を鑑賞しながら港まちを歩くことで、鑑賞者は自然とまちを俯瞰でき、細部に気づき、まちを楽しめるような仕掛けとなっている。
今年は10月14日から12月10日までの期間、「アッセンブリッジ・ナゴヤ2017」現代美術部門では「パノラマ庭園 ─タイム・シークエンス─」というタイトルのもと、日本を代表する作曲家、一柳慧が1976年に発表したピアノ曲《タイム・シークエンス》に着想を得て、展示を開催した。《タイム・シークエンス》は反復し変化する音形により展開され、同時に進行する複数の時間の存在が想起される作品である。
時間の流れと土地や場所の関係、生成変化などに焦点を当てる構成で、12組のアーティストが参加した。
合目的的不毛論
[2017年12月15日号(中井康之)]
マイケル・ジャクソンが写し出されたグラビア写真と不確定な物体。それが、澤田華の《Gesture of Rally #1712》を構成する基本要素である。その二つの要素は、全く異なる立脚点によって存在すると思われるのだが、澤田は、偶然にもその二つの相容れない要素が交差した瞬間を見出すことによって今回の作品を生み出している。
トピックス
DOMANI・明日展PLUS X 日比谷図書文化館
──文化庁新進芸術家海外研修制度の作家たち
[2017年12月15日号(柘植響)]
文化庁は日本の芸術界の未来を牽引する人材育成を目的として、1967年より「新進芸術家海外研修制度(旧・芸術家在外研修制度、以下在外研修)
」を始め、今年で50周年の歴史を刻む。文化庁文化部芸術文化調査官の林洋子氏に、時代とともに歩んだ在外研修の変遷、「DOMANI・明日展」の姉妹展であり、今年は千代田区立日比谷図書文化館を会場とする「DOMANI・明日展PLUS」の企画経緯についてお話しを伺った。デジタルアーカイブスタディ
アニメーションアーカイブの現状 2017
[2017年12月15日号(山川道子)]
2017年「東京アニメセンター」が秋葉原から東京・市ヶ谷のDNPプラザへ移転し、国立新美術館では国立として初めてとなるアニメーション展が行なわれている。クールジャパンの具体例として名が挙がるアニメーションだが、その作品や資料の保存については語られる機会が少ない。アニメの原画と映像保存の現状、アニメアーカイブの対象範囲と分類法、原画のデジタル化手法、アーカイブ構築の方法、業務での利活用と資料の公開状況など、アニメーションアーカイブの現状をプロダクション・アイジーのアーカイブグループリーダーである山川道子氏にご執筆いただいた。山川氏は文化庁のデジタルアーカイブ事業に関わり「メディア芸術データベース(開発版)」構築にも参加された。