バックナンバー
2020年07月01日号のバックナンバー
フォーカス
オルタナティヴ・スペースが拡げる「活動の空間」
[2020年07月01日号(和田信太郎/コ本や honkbooks)]
東京・池袋に、「コ本や honkbooks」(以下、コ本や)という、一見すると本屋のようなオルタナティヴ・スペースがある。アーティストとブックディレクター、メディアディレクターの3人が共同で立ち上げ、さまざまな試みが展開されているこの「場」は、本屋という機能を兼ねながら、芸術活動の自明性に対してどのようなアプローチをかけているのだろうか。コロナ禍を経たこの時代に、アーティストたちが自らリアルな空間を運営していくことについて、主宰のひとりである和田信太郎氏に寄稿していただいた。(artscape編集部)
キュレーターズノート
コロナ禍における正反対のふたつの展覧会──
ダークアンデパンダン/内藤礼 うつしあう創造
[2020年07月01日号(能勢陽子)]
コロナ禍のもと、特に印象に残った二つの展覧会について書きたい。どちらも、人々が集ったり直接会ったりすることができず、互いに物理的な距離を取らなければいけない状況など予測もしていなかったときから企画されていた展示である。ひとつは、誰でもが自由に出品・鑑賞できるウェブ上と、限られた関係者しか観ることのできない現実の場で同時に行なわれた展覧会、もうひとつはむしろ人と距離を取り、孤独のなかで観るべき展覧会である。
東北の被災地から──コロナ禍の美術館
[2020年07月01日号(山内宏泰)]
東北の被災地、宮城県気仙沼市。復興オリンピックの延期とコロナ禍は被災地にどのような影を落とすことになるのか。例年多数の来館者が訪れるはずの3月、リアス・アーク美術館の入館者数は例年の半分以下まで減少した。4月には緊急事態宣言による約1か月の臨時休館。そして5月、緊急事態宣言が延長されるなか、政府から示された美術館、博物館への開放要請。
情報が錯綜するなか、手探りで行なった感染症対策と先の見えない事業変更。「住民の健康的な生活を維持するため」との理由で開館を求められたことの真意は何なのか? そもそも美術館の社会的必要性とは何なのか? コロナ禍で迎える東日本大震災発生10周年を前に、我々が向き合うべき課題を問う。
トピックス
海外美術館に聞く新型コロナ対策
[2020年07月01日号(坂口千秋)]
世界中の都市を機能不全に陥らせた新型コロナウィルスのアウトブレイクから約5ヶ月が過ぎた。中国や韓国では3月半ばに美術館や博物館が再開し、欧州は5月からイタリアやドイツ等で徐々に再開が始まり、6〜7月にはほぼ全域で条件付きの再開となる見込みだ。日本もさまざまな安全対策を講じて6月上旬に再開し始めた。手探りのニューノーマルが始まっている。コロナ下の美術館は、実際にどのように休館の時期を過ごし、再開にあたってどのような対策が取られたのか。artscape編集部が5〜6月に行なった海外美術館(上海、龍仁[韓国]、台北、NY、ベルリン)へのアンケートと、国際博物館会議(ICOM)による美術館博物館の世界調査
をとおして、今回のパンデミックによって迫られた美術館運営の変容をみる。(6月上旬時点での情報を元にしているため、現状は若干変化しているところもある)デジタルアーカイブスタディ
行かない/行けない人のためのデジタルミュージアムと、それを支えるデジタルアーカイブ
[2020年07月01日号(田良島哲)]
ミュージアムとは、その空間へ足を運ぶ人たちだけのものなのだろうか? 文化庁 国立近現代建築資料館 主任建築資料調査官と東京国立博物館 特任研究員を兼任し、歴史的資料のデジタル化とその公開利用に長年にわたり取り組んでいる田良島哲(たらしま・さとし)氏に、コロナ禍を経た今後の美術館・博物館の情報発信とデジタルアーカイブのあり方についてご執筆いただいた。(artscape編集部)