バックナンバー
2022年03月15日号のバックナンバー
フォーカス
「明治文学の彩り──口絵・挿絵の世界」展から垣間見る、その時代ゆえの挿絵画家たちの生態系
[2022年03月15日号(塚田優)]
現代において、イラストレーションを用いた広告や映像を目にしない日はなく、ごく身近な表現形態のひとつとして私たちの日常に息づいているのは周知の通りだろう。しかし、その描き手たちの職能の成立過程やその前史に目を向けたことがある人はごく僅かかもしれない。日本近代文学館で先日まで開催されていた「明治文学の彩り──口絵・挿絵の世界」展(2022年1月8日〜2月26日)は、文学作品とともに流通していった「口絵・挿絵」の数々を俯瞰することのできる貴重な展覧会だった。アニメーション、イラストレーション、美術を中心とした視覚文化全般を関心領域とする評論家の塚田優氏に、本展を振り返りつつ、メディア状況とともに変化していった挿絵画家の立ち位置や、そのアイデンティティ形成の手前にあったものなどについて論考を寄せていただいた。(artscape編集部)
キュレーターズノート
また会いましょう、どこかも知らず、いつかもわからないけれど──とある学芸員のよしなしごと
[2022年03月15日号(工藤健志)]
この10年あまり、パンデミックや災害を契機に刻々と社会が変わっていくなかで、美術館や美術展も例外ではなく変化を迫られてきた。そのたびに本連載で、展覧会を企画していくことを通しての葛藤や喜びなど、さまざまな思いの丈をその都度綴ってくださっていた青森県立美術館学芸員の工藤健志氏。自ら携わった全国5館による共同企画展の大・タイガー立石展を振り返って前回の原稿で「自らの展覧会の仕事がちょうどぐるりと一周した気がしている」と書かれていた昨年末から少し経ち、いま思うことをご執筆いただいた。(artscape編集部)
トピックス
[PR]24年目の「DOMANI・明日展」──これからの文化庁新進芸術家海外制度のあり方を探る
[2022年03月15日号(柘植響)]
毎冬、恒例で開催されている「DOMANI・明日展」は、文化庁「新進芸術家海外研修制度(旧・芸術家在外研修。以下、在研)」の成果を社会にフィードバックする機会である。今年は残念ながら東京での開催はなく、京都・水戸・広島・愛知・石巻の5都市で分散して展開された。未曾有のパンデミックは国の文化芸術の施策にも大きな影響を与えているようだ。本事業を担当、キュレーションしてきた文化庁芸術文化調査官の林洋子氏と、第24回目の同展を担った各会場の企画担当者にお話を伺った。