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2023年02月15日号のバックナンバー

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フォーカス

ミュージアムにおける脱植民地主義──シングル・ストーリーからの脱却

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[2023年02月15日号(八巻香澄)]

2023年、史上最多のグラミー賞受賞者となったビヨンセは、2018年にJAY-ZとのThe Carters名義で「APESHIT」のMVをルーヴル美術館を舞台に制作している。この彫刻はどういう歴史的経緯でここにあるのか、この絵画の登場人物や配置の背景には人権侵害の構造があるのではないか、これらはいまどのような文脈で展示されているのか、鑑賞する側には無意識の差別や偏見はないか。映像は西洋美術史や美術館の根底にある植民地主義を告発する。5年後の現在、この問題はますます多様に多くの場所で議論されていると言えるだろう。本稿では、おもに欧州のミュージアムが抱える脱植民地主義の課題について、東京都現代美術館の学芸員、八巻香澄氏にご寄稿いただいた。同様の問題は日本にもある。(artscape編集部)

キュレーターズノート

「一見意味がないとされるもの」とも同じ場に集うこと──「ROUTINE RECORDS」での実践を通して

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[2023年02月15日号(野中祐美子)]

金沢21世紀美術館には企画展やコレクション展を開催する展覧会ゾーンと、それらを囲むようなかたちで交流ゾーンと呼ばれるエリアがある。今回はこの交流ゾーンの中にあるデザインギャラリーでの取り組みを紹介したい。
デザインギャラリーは全面ガラス張りで、通り過ぎる人たちがガラス越しに展示室の中の様子を見ることができ、気軽にふらっと中に入りやすい。しかも、ミュージアムショップの目の前に位置しているため、ショップの延長だと勘違いする来場者も少なくない。実際、開館当初の構想では、アートとデザインの境界に位置づけられる作品や、ショップへの展開が可能な作品をここで展示するという指針があったと聞いている。また、デザインというキーワードで地域の産業と連携した展示なども行なってきた。
近年の展開としては、2017年から新しく「lab.」という展覧会シリーズが始まった。シリーズ名は、実験室や研究室を意味する「laboratory」の略から取ったものだ。デザインギャラリーを作品展示の場所として用いるだけでなく、調査・研究・実験の場として開きつつ、そのプロセスをプレゼンテーションするという取り組みである。 今回はその「lab.」シリーズ第5弾「lab.5 ROUTINE RECORDS」と題し、福祉実験ユニット「ヘラルボニー」による新しいプロジェクト「ROUTINE RECORDS」を紹介、体験する場として展開している。

生活こそすべて。毎日何をしているかだけですもんな、人生は。──坂口恭平日記

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[2023年02月15日号(坂本顕子)]

2009年、熊本市現代美術館のギャラリーⅢというスペースで「坂口恭平 熊本0円ハウス」という展示を行なった。当時、駆け出しの学芸員だった筆者は、坂口がメインフロアで個展を開催する未来をうまく想像できなかったが、そこから14年の月日を経て、2月11日から「坂口恭平日記 In My Life」として、次世代の学芸員が企画し、700点のパステル画による個展がスタートしたのは本当に感慨深い。

トピックス

[PR]「こだま返る」関係から生まれた風景──アール・ブリュット ゼン&ナウVol.2「Echo こだま返る風景」(東京都渋谷公園通りギャラリー)

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[2023年02月15日号(河原功也/佐藤恵美)]

渋谷PARCOの斜向かいに位置する、東京都渋谷公園通りギャラリー。多くの人が行き交う通りで、アール・ブリュットの作品をはじめ多様なアートを展示している。ここで1月21日より「アール・ブリュット ゼン&ナウVol.2『Echo こだま返る風景』」が開催中だ。「風景」をテーマに、国内から6名の作家を紹介する。本展の企画を担当した学芸員の河原功也さんに、展覧会の見どころを伺った。

アート・アーカイブ探求

ジャン・デュビュッフェ《ご婦人のからだ 肉のかたまり》──認識するとは何か「小寺里枝」

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[2023年02月15日号(影山幸一)]

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