2020年06月01日号
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現代美術用語辞典 1.0

アンフラマンス

Inframince
2009年01月15日掲載

「下の、下方の」という意味の接頭辞「infra-」と、「薄い」という意味の形容詞「mince」を組み合わせたM・デュシャンの造語で、「極薄」「超薄」などと訳される形容詞。生前にはほとんど知られていなかったこの語は、デュシャンの死後46編のメモが発見され、1980年にポンピドゥー・センターの回顧展カタログにその複製が掲載されたことで、一躍脚光を浴びることになった。デュシャン本人による定義が存在せず、また実在する作品との関係も明らかではないミステリアスな概念だが、現時点においては、カタログの編纂に携わった批評家J・クレールによる、物質的な薄さや人間の感覚域に関わる薄さではなく、「平面(二次元)からヴォリューム(三次元)へのパサージュ」に「アンフラマンス」の本質が存在するとする解釈が定説である。もちろん、今後の研究の進展によって新たな側面が明らかになることも期待される。詳細な内容については『マルセル・デュシャン全著作』(ミシェル・サヌイエ編、北山研二訳、未知谷、1995)を参照されたい。

[執筆者:暮沢剛巳]

現代美術用語辞典 2.0

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