現代美術用語辞典 1.0
ステンシル
Stencil
2009年01月15日掲載
広く孔版の意味で使われる版画技法のひとつ。フランスではpochoirと呼ばれる。合羽板とも言う。金属や防水性の素材に文字や模様を切り抜いて紙や布の上に置き、上から絵の具・インキ・染料を刷り込み、抜かれた孔の部分を染色する技法。ステンシル技法の特色は、単純明快な輪郭と均一な色面が得られることである。H・マティスが切り絵技法(デクパージュ)をもとに制作したステンシル版画《ジャズ》シリーズ(1944-47)には、その効果が十分に発揮されている。また、R・リキテンスタインは同一モティーフの反復が可能な点に注目し、彼の作品を特徴づける「ドット」をステンシル技法によって描いている。当初、彼は金属板に穴を開けた型を使っていたが、よりドットを規則的に描くため、穴を開けた紙(ドット・スクリーン)ににかわを伸ばしてカンヴァスに貼り、その上からブラシで絵の具を塗り、最後に紙をはがす方法をとるようになった。
[執筆者:岸弥生]