現代美術用語辞典 1.0
グローバリゼーション
Globarization
2009年01月15日掲載
政治、経済、文化など、社会のさまざまな領域が世界的な規模で再編されていくプロセスの総称。米ソ冷戦構造が崩壊し、またコンピュータ・テクノロジーと結びついた資本や情報の流動化が一段と進んだ1990年代、グローバリゼーションの興隆はしばしば「国民国家」の衰退と表裏一体のものとして語られてきた。だが、この両者は単純な対立図式でとらえられるものではなく、グローバリゼーションはまた「国民国家」の再編をも含意している。アルゼンチン出身の女性都市計画学者・社会学者S・サッセンはこの観点にいち早く注目した一人であり、資本同様に移民の流動化にグローバリゼーションの契機を見る彼女は、その象徴として、資本と労働力が越境する場所を「グローバル・シティ」と名づけた(『グローバリゼーションの時代』伊豫谷登志翁訳、平凡社、1999)。もちろん、グローバリゼーションの流れは現代美術をも不可避的に巻き込むものであり、97年のドクメンタや99年のヴェネツィア・ビエンナーレなどの国際展には、グローバリゼーションの傾向が色濃くにじみ出ている。
[執筆者:暮沢剛巳]