現代美術用語辞典 1.0

「キュビスムと抽象芸術」展

Cubism and Abstract Art Exhibition
2009年01月15日掲載

ニューヨーク近代美術館で開館7年目にあたる1936年に行なわれた企画展。同美術館ディレクターのアルフレッド・バーJrが企画。前年、アメリカの抽象美術に関する大規模な展覧会がホイットニー美術館で行なわれたため、ヨーロッパの抽象美術に限定し、後期印象派から同時代までの美術の流れを回顧的に展示した。出品作家は、セザンヌ、ピカソ、ブラック、レジェ、ドローネー、デュシャン、ゴーギャン、カンディンスキー、ブランクーシ、モンドリアンなど、現在、モダン・マスターと呼ばれる作家ばかりで、出品作品には、現在のニューヨーク近代美術館の重要なコレクションになっているものも数多く含まれている。カタログのカバーに印刷された「モダン・アートの系譜図」は、この展覧会のコンセプトを最も明解に示しており、近代美術史の形成に大きな影響を与えるとともに、近代美術の進歩史観を強めた。また、絵画、彫刻のみならず、写真、映画、建築、デザインが含まれていた点も先駆的であった。

[執筆者:鷲田めるろ]

現代美術用語辞典 2.0

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