現代美術用語辞典 1.0
エコール・ド・パリ
Ecole de Paris
2009年01月15日掲載
「パリ派」。中世写本芸術の一派、第二次大戦後の抽象主義芸術等、ある時期にパリを中心に活動した芸術家集団一般に対しても使われる呼称だが、特に第一次大戦前後のパリに集まった一群の芸術家を指す。共通の目的をもった芸術運動や特定の芸術様式ではないために厳密な定義はない。多くが祖国を離れた放浪の画家で、モンマルトル、あるいは前衛芸術の新しい中心地モンパルナスのカフェ、集合アトリエなどに詩人G・アポリネールや作曲家E・サティ、政治亡命者などともに集いつつ、故国に根差した自己の心象風景をパリの街並みや身近な事物を通して表現、各々が一種の憂愁を帯びた独自の世界を築いた。「自由と芸術」を謳歌すると同時にしばしば「酒と貧困」による自滅的生活を送り、「呪われた芸術家」の異名もとる。M・シャガール、A・モディリアーニ、C・スーティン、J・パスキン、M・キスリング等東欧ユダヤ系芸術家のほか、M・ユトリロ、藤田嗣治などが代表的芸術家。
[執筆者:陳岡めぐみ]