現代美術用語辞典 1.0

サーチ・コレクション(サーチ・ギャラリー)

Saachi Collection
2009年01月15日掲載

ロンドンで大手広告会社を経営するチャールズ・サーチによる、プライヴェートでは英国最大規模の現代美術コレクション。1970年よりポップ・アートミニマル・アートニュー・ペインティング等の収集を始め、85年にロンドンの住宅街にある工場跡を改装したサーチ・ギャラリーを開設。以後、開館は週末のみだが年間2度の展示替えという長期スパンで所蔵品を公開している。サーチ・ギャラリーの重要性は、英国の現代作家に市場価値を付与し、アート・フェア等を通じて海外への普及を果たしたことに加え、同時代のアメリカやドイツなどの若手の作品をロンドンに紹介し、若い作家・学生らに情報と刺激を与えたことにある。特にJ・クーンズやR・ゴーバーを紹介した87-88年の「ニューヨーク・アート・ナウ」展は、当時ロンドンのゴールドスミス美術学校の学生であったD・ハーストやG・ヒュームといった作家たち(88年に「フリーズ」展を開催し、現在YBA[Young British Artists]として現代美術界に確立される)に大きな影響を与えた。なお、1997年に「センセーション――サーチ・コレクションの若きイギリスの作家たち」というコレクション展がロンドン(ロイヤル・アカデミー)とベルリン(ハンブルガー・バーンホフ[ベルリン現代美術館])を巡回している。 (所在地=89A Boundary Road London NW8.)

[執筆者:三本松倫代]

現代美術用語辞典 2.0

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