現代美術用語辞典 1.0
Prospect 71
Prospect 71
2009年01月15日掲載
1971年にデュッセルドルフのクンストハレ主催で開催された、国際的なアート・イヴェント。ニューヨーク、ロンドン、パリ、ローマ、デュッセルドルフ、ケルン、ベルリンなど世界中のギャラリーがデュッセルドルフの州立施設(機関)を割り当てられ、各自のプログラムを紹介するという趣向をとった。68年から70年代半ばにかけて、デュッセルドルフで基本的に毎年開催されたが、80 年代からはフランクフルトのクンストフェラインなどが同名の写真、映像展を開催するようになった。現在は後者の方が知られている。71年の《Prospect》にはニューヨークからレオ・カステリ、ジョン・ギブソンなど6画廊、ロンドンからリッソンなど3画廊、デュッセルドルフ、ケルンそれぞれからシュメーラなど3画廊が参加。その他アムステルダム、コペンハーゲン、ローマ、パリ、ベルリンなどから著名ギャラリー(機関)が参加した。総数33団体。出品作家はV・アコンチ、C・オルデンバーグ、B・ナウマン、R・モリス、R・ハミルトン、D・グラハム、G・リヒター、A・ウォーホル、F・E・ヴァルター、J・ボイス、ギルバート&ジョージ、B&H・ベッヒャーなど75名(グループ)。同展は68年開催当初からコンセプチュアル・アートやメディア・アートに力を注いでおり、作家のコンセプトやプロセスの説明を重視すると同時に、いちはやく写真、映像、スライド、音響といった新しい表現メディアを取り入れた展覧会として注目される。
[執筆者:浅沼敬子]