2020年06月01日号
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現代美術用語辞典 1.0

エングレーヴィング

Engraving
2009年01月15日掲載

彫刻凹版技法のこと。インタリオ(凹版)技法における直接法の一種。ビュラン(burin)と呼ばれる鋭利な刃物で金属面に直接彫りつけて刻線をつくり、その溝にインクを詰めてプレス機で印刷する。版材は、彫刻に適した硬度と柔軟さを併せもつ銅板がもっとも広く用いられる。金属版に線描を施す手法は他にドライポイントエッチングがあるが、ビュランによる線描は、ドライポイントのような刻線の縁のまくれや、エッチングのような腐蝕によるくずれが生じず、非常に硬質でシャープな線描が得られる。ビュランの扱いに熟練すれば1mm幅の中に何本もの線を彫るようなことも可能である。年代のはっきりしているエングレーヴィングによる版画としては、1446年にオランダで制作された宗教画が現存しており、15世紀前半には版画技法として確立していた。きわめて精密な線描が可能な一方、人の手による彫刻であるため機械的均質さから免れ、偽造防止の効果があるので、商業印刷の世界では今でも紙幣や証券の細紋の印刷に広く用いられている。

[執筆者:木戸英行]

現代美術用語辞典 2.0

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