現代美術用語辞典 1.0
「6人の画家とオブジェ」展
Six Painters and the Object
2009年01月15日掲載
1963年3月から6月にかけてニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム美術館で開催された展覧会で、その後ロサンゼルスなどアメリカ各地を巡回した。「ポップ」という用語の生みの親とされるイギリス出身の評論家ローレンス・アロウェイがキュレーターを務め、大衆文化からモティーフをえた過去のヨーロッパ絵画の歴史をふまえつつ、その現代の例としてR・ラウシェンバーグ、J・ジョーンズ、R・リキテンスタイン、J・ダイン、J・ローゼンクイスト、A・ウォーホルら6人のアーティストを選定し、展示した。この展覧会はアメリカのみならず海外にもポップ・アートの出現を印象づけた。1963年5月号の『アート・インターナショナル』に展評を寄せたバーバラ・ローズは、同展によってラウシェンバーグやジョーンズといった「ネオ・ダダ」と「ポップ・アート」の違いが明確にされたと指摘し、それまで「芸術か非芸術か」といった論争の絶えなかったポップ・アートが権威ある美術館に展示されることによって芸術になった、と書いた。「ポップ・アート」という名称は62年ごろまではまだ流動的で、同じ作品が「ニュー・リアリズム」「サイン・アート」などの名称で呼ばれていたのだが、同展とこれらの批評によってポップ・アートの言葉は世界的に定着したと言える。
[執筆者:浅沼敬子]