2020年10月15日号
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現代美術用語辞典 1.0

ジオスコープ

Geoscope
2009年01月15日掲載

建築家/デザイナーのB・フラーが提唱した全地球的規模の空間原理。「宇宙船地球号」のキャッチフレーズで知られる通り、フラーは地球を国家という枠組みを超えた「生命圏(biosphere)」としてとらえ、政治思想とは無縁なライフサイエンスによる革命を本気で夢見る夢想家であった。「クリティカル・パス」として結実したその夢想は、晩年に著された同名の大著(梶川泰司訳、白揚社、1998)で詳細に述べられているが、その核心をなしていたのがこの「ジオスコープ」である。1964年、フラーは「宇宙船地球号」に見立てた地球を縮尺50万分の1の「ダイマクシオン・スカイ・オーシャン・マップ」として図案化したが、その意図は大陸の輪郭が一続きであり、その全体がひとつの大洋に浮かぶ「世界島」であることを明らかにすることになった。人々のコンピュータへの信頼が高まりはじめた当時、フラーは「宇宙船地球号の人類の生活の中で個人が行ったあらゆる発見を、人類一人一人にすみやかに発展させるにはどう促せばよいか」を、この鳥瞰図によって表わしたのである。「ジオデジック・ドーム」と同様のデザイン原理を、全地球的な規模へと発展させたフラーの夢想の真骨頂とも呼ぶべき概念と言えよう。

[執筆者:暮沢剛巳]

現代美術用語辞典 2.0

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