現代美術用語辞典 1.0
カウンター・カルチャー
Counter Culture
2009年01月15日掲載
若者が牽引する反体制的な文化の総称。今までに形作られてきた文化のメイン・ストリームに対する反発であると同時に、その背景にある強固なモダニズム的価値観への批判という側面を持ち、特に先鋭的なものは「アンダー・グラウンド(アングラ)」と呼ばれることもある。一般に、「カウンター・カルチャー」として真っ先に想起されるのは、1960年代後半のアメリカにおける若者文化である。ヴェトナム戦争への厭戦観が蔓延し、また資本主義の文化矛盾が多く露呈した当時、若者の社会に対する不満はPC(ポリティカル・コレクトネス)という旧套打破の運動として噴出したが、それとはまた位相を異にして、ヒッピーやドラッグに象徴される「カウンター・カルチャー」としても問われたのである。モダニズム的価値観への批判がその根底にあるだけに、「カウンター・カルチャー」は当然先鋭的な形を取ることになる。ただそれは、いわゆる前衛のように芸術を芸術として自己更新するのではなく、権威主義的な芸術を社会に対して開いていくことが主眼であり、その多くはサブカルチャーという体裁で発揮された。最も端的なのが、そしてB・フラーに代表される機械主義的デザインや音楽におけるロックの爆発的流行であり、そうした特徴の多くは、後のポストモダニズムへと回収されていくことになる。
[執筆者:暮沢剛巳]