2020年10月15日号
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現代美術用語辞典 1.0

かわいい系

Cuteness
2009年01月15日掲載

「かわいい」特質を前面に押し出した現代美術の作品の総称。少年や少女の幼児性を強調する、おとぎ話やコミックの要素を取り入れる、動物やキャラクターなどを戯画的に描くなどさまざまな手法が挙げられるが、きわめて多岐に及ぶ作家作品群に、様式上の統一性を見ることは困難である。『美術手帖』1996年2月号が組んだ特集「かわいい」では、F・ステットハイマー、K・キリムニク、K・ディングル、奈良美智、立木泉らが「かわいい系」の作家として取り上げられていた。これらの作家にはいずれも「逸脱」の意志があり、その意志が「かわいい」形態をまとうことには一連のポリティクスが存在するというのが特集の趣旨であり、同特集に掲載されていた松井みどりのテクスト「偏愛のマクロポリティクス」は、「かわいい」という概念の検討から始めて、豊富な例証を交えながらそのポリティクスを精密に分析している。なお、豊富なフィールドワークを交えて日本各地の公共建築を検証した中川理が、『偽装するニッポン』(彰国社、1996)で提出した「ディズニーランダゼイション」という概念もまた、「かわいい」建築への眼差しから生まれたものと言ってよい。

[執筆者:暮沢剛巳]

現代美術用語辞典 2.0

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