2019年09月01日号
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現代美術用語辞典 1.0

レイヨニスム

Layonnisme / Luchizm
2009年01月15日掲載

光線主義と訳される。ロシア語では「ルチズム」。1910年前後から14年にかけて、ロシアのM・ラリオノフやN・ゴンチャロヴァ等によって実践された絵画様式。光線や光の束を描くことを特徴とする点で、動きを示す為に線を描いた未来派と様式上の類似点を多くもつ。事実、13年にモスクワで開かれた展覧会「標的」に際して出版された論集のなかの、ラリオノフの手によると考えられているマニフェストでは「レイヨニスムは、キュビスム、未来派そしてオルフィスムの綜合である」と述べられている。ここから推察されるように、レイヨニスムは線、リズム、色彩の綜合的な関係を画面上に表現することを目標とした。一方で、芸術家は自身の美的目的によって形式を創造するためには、対象から発する、もしくは諸対象を交差していく光線を操らなければならないとしたこの運動において、主題は画面上から消滅していくこととなる。例えば、ラリオノフの12年の作品《光線主義者の風景》ではまだ再現的表現が認められるが、13年の展覧会に出品された《光線主義者のコンポジション》は極めて構成的な契機のうえに成り立っている。この運動は、ラリオノフとゴンチャロヴァが14年以降イーゼル・ペインティングの形式を放棄したことにより事実上の終わりを迎えた。しかし、20世紀初頭の抽象絵画の勃興期におけるその綜合的な性格と、芸術家の感性によるエレメントの操作を認めるという態度は特筆に値するであろう。

[執筆者:保坂健二朗]

現代美術用語辞典 2.0

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