現代美術用語辞典 1.0

ネオ・ポップ

Neo Pop
2009年01月15日掲載

中原浩大、村上隆、中村政人、太郎千恵蔵、奈良美智ら、1990年前後に登場した若手作家の総称。ネオ・ポップという名は、コミックやアニメーションなどサブカルチャーのイメージを多用する彼らの作風がポップ・アートとを連想させることに由来するものだが、実際には1980年代にニューヨークのアート・シーンを席巻したシミュレーショニズムと密接な並行関係にある。一見すると大衆文化の大量消費にストレートに対応しているかのような彼らの作品が、自己言及的な批評性を含んでいることは、彼らの台頭がすでにバブル経済が崩壊した後だった事実によって確かめられるだろう。彼らの多くは海外への留学経験をもち、いわば逆輸入のかたちでそのキャリアをスタートさせ、日本において若者を中心とするポピュラリティを獲得の後、再度海外へと進出し高い評価を獲得しているが、その多くは「ジャパニメーション」の流行と連動したものであり、その評価に現代的なエキゾチズムとしての側面があることは否定できない。なお、代表的作家の村上は、自分の立場をポップとオタクとを重層させた「ポック」、さらには「スーパーフラット」として標榜、「ネオ・ポップ」という立場は当の作家たちによって更新されている。

[執筆者:暮沢剛巳]

現代美術用語辞典 2.0

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