現代美術用語辞典 1.0
新造形主義
Neo-Plasticism
2009年01月15日掲載
1920年頃、P・モンドリアンによって提唱された幾何学的抽象芸術理論。当初、T・ファン・ドゥースブルフらと17年にレイデンで創刊した『デ・ステイル』誌を拠点に展開され、20年バウハウスから『新造形主義』として論集刊行。キュビスムを出発点として、垂直と水平の直線、三原色と無彩色の組み合わせから(「純粋な線と色彩の純粋な関係」)すべての形態を造形し、幾何学的に純粋抽象造形にいたることを主張。諸芸術ジャンルを統合する普遍的造形原理の獲得を目指した。しかし、哲学、神学の影響下に形成された同理論の観念性や厳格さは、デ・ステイル内に対立を招き、25年にモンドリアンは同派を離脱。以降、新造形主義理論はモンドリアンのみを(《青と黄と黒のコンポジション》1936)厳密な実践者として、第二次大戦勃発にいたるまでバウハウス、構成主義、ダダなどと理論交流をもちつつ、「冷たい抽象」の系譜を形成、ハード・エッジ等を生む素地を作る。
[執筆者:陳岡めぐみ]