2020年10月15日号
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現代美術用語辞典 1.0

ハード・エッジ

Hard-Edge
2009年01月15日掲載

「刃のような鋭い縁」。この用語は1959年、批評家J・ラングスナーが「四人の抽象古典主義者」展で初めて用いたとされ、その後L・アロウェイによる修正を経て、60年前後のL・P・スミス、E・ケリー、A・リーバーマン、A・マーティンらの画風を示すものとして定着した。表現形態としては、幾何学的抽象を敵視し、それに依存する近代絵画の空間を克服するために単純な形態やフラットな色面構成を採用しており、地と図の関係が存在しない画面の先駆がB・ニューマンやF・ステラの絵画にあると指摘されることもある。そもそもは「抽象表現主義」に逆らう意図を持った動向なのだが、空間的イリュージョンを排除したその構造はむしろ同じ地平に位置しており、いまではむしろ「抽象表現主義」との連続性によって語られることが多い。かつて「ポスト・ペインタリー・アブストラクション」と呼ばれたこの動向が、いま「ハード・エッジ」として定着しているのは、その語感が硬質な作風はもとより、「ミニマリズム」への接続を語るうえでもよりふさわしいからであろう。

[執筆者:苅谷洋介]

現代美術用語辞典 2.0

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