現代美術用語辞典 1.0

バーンズ・コレクション

The Barnes Collection
2009年01月15日掲載

新薬の特許で巨万の富を得たアメリカの富豪A・C・バーンズが収集したフランス近代絵画を中心とする総数約2500点のコレクションの総称で、H・マティスの《生きる歓び》やG・スーラの《ポーズする女たち》を含むそれは、20世紀でも屈指の個人コレクションとして高い評価を受けている。概してコレクターは、作家はもとより学芸員や批評家よりも周縁的な存在とみなされがちであるが、高名な医学博士であったばかりか、セザンヌやルノワールに関して著作を残すほどに博識であったバーンズは、こうした従来の常識を覆す破格のコレクターだった。1922年にフィラデルフィアに自身のコレクションを管理する財団を起こしたバーンズは、以後他の職を辞して1951年に自動車事故で急死するまでその仕事に専念、その気難しい気性から、しばしば高名な美術史家や批評家とも衝突し、なかでもE・パノフスキーの再三の申し出を拒み、とうとう鑑賞を認めなかったエピソードはつとに有名。そしてバーンズの死後も「非公開・非複製」の遺言によってそのコレクションは長らく門外不出であったが、近年ようやくその一部が公開の運びとなり、1994年には東京の国立西洋美術館でもコレクション展が開催され、空前の入場者数を記録した。

[執筆者:暮沢剛巳]

現代美術用語辞典 2.0

▲ページの先頭へ