現代美術用語辞典 1.0

世界デザイン会議(1960)

World Design Conference
2009年01月15日掲載

1960年5月7日から16日まで、27カ国、二百数十名のデザイナー、建築家を集めて東京・産経ホールなどで開催された。勝見勝、坂倉準三、柳宗理、亀倉雄策、丹下健三らが中心となり、デザインの分野の違いを超えて討論を行ない、世界のデザイン界との国際交流の場を生み出そうという意図から開催された大規模な会議。グラフィック、インダストリアル、環境の三分野に分かれて討議が進められた。建築、グラフィック、インダストリアル、クラフト、インテリアの各分野のデザイナーたちが分野を超えた横の繋がりと国際的な繋がりをもつ初めての機会であり、日本のデザインを海外に知らしめる威信をかけたイヴェントでもあった。ハーバート・バイヤー、オトル・アイヒャー、ソール・バス、ブルーノ・ムナーリ、ルイス・カーンら巨匠たちが来日。この会議を契機として「メタボリズム・グループ」が結成される。ここで採択された東京宣言では、「来るべき時代が、人間の権威ある生活の確立のために現代よりもいっそう力強い人間の想像的活動を必要としていることを確信し、われわれデザイナーに課せられた責任が重大であることを自覚する」と述べられている。この会議で初めて日本において「デザイン」の語が社会的認知を得、その後のデザイナーの活躍の場を広げていく契機となる。各分野の相互協調の実績は、64年の東京オリンピックで生かされることになる。

[執筆者:紫牟田伸子]

現代美術用語辞典 2.0

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