現代美術用語辞典 1.0

ハプニング

Happening
2009年01月15日掲載

今日では「パフォーマンス」の一形態とみなされている「ハプニング」は、そもそも「環境芸術」の一環として構想されたものだった。1959年、ニューヨークのリューベン・ギャラリーで最初の個展「6パートに分かれた18のハプニング」を開催したA・カプローは、室内空間を細かく仕切り、それぞれの空間で一見何の脈絡もない出来事を演出し、観者にその解読作業を強いたのである。カプロー自身は、この試みを“イヴェントのアサンブラージュ”と定義し、作者と観者との双方向性を強調しようとしたのだが、「ハプニング」と命名されたこの試みはその後むしろ身体表現の一種としてとらえられるようになった。後に、綿密な予行演習や台本を用いた構成が、偶然性により多くを委ねた「フルクサス」らの「イヴェント」と対比されるようになったことがその一因でもある。

[執筆者:暮沢剛巳]

現代美術用語辞典 2.0

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