2020年10月15日号
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現代美術用語辞典 1.0

環境芸術

Environment Art
2009年01月15日掲載

英語のEnvironment Artの訳。アラン・カプローなどの講演録から、すでに60 年代初頭のアメリカにおいて、この用語が新しい芸術動向として流通していたことが分かる。ただし少なくともその時点では自然やエコロジーなどの意味は薄く、屋内を含む周辺環境一般を取り込んだ表現活動を指していた。60年代から70年代にかけて、W・デ・マリア、M・ハイザー、R・スミッソンら自然環境を舞台した活動が知られるにつれて、この用語は自然と結びつくようになる。彼らは広大な荒地や湖、砂漠を舞台に、土や石といった自然素材を使用したり移動させたりして原始的で大規模な制作活動を行なった。彼らの活動はアースワーク、ランド・アートとも呼ばれる。80年代に都市論が盛んになるに従ってこの用語はさらに意味の拡がりを見せ、すでに活発化していたエコロジーの視点をも取り入れた都市環境のコンテクストでも語られるようになってきた。そうしたコンテクストでのアーティスト(建築家)にはD・カラヴァン、M・パン、N・メルカドらがおり、彼らは単に自然の中で活動するのではなく、都市と自然、そこに住む人間の有機的なつながりといったものを芸術によって体現しようとする。また環境芸術には50年代ドイツのグループ・ゼロのように、機械を使用した空間の変容や演出の試みが含まれることもあり、これはメディア・アートとの繋がりを想起させる点で興味深い。

[執筆者:浅沼敬子]

現代美術用語辞典 2.0

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