現代美術用語辞典 1.0

メタボリズム

Metabolism
2009年01月15日掲載

「新陳代謝」にちなんで命名された、1960年代に展開された建築運動。浅田孝、川添登、菊竹清訓、黒川紀章、栄久庵憲司、粟津潔を創設メンバーとして、60年に東京で「世界デザイン会議」が開催されたのを機に、「来るべき社会の姿を、具体的に提案するグループ」として結成された。会議と同時に出版された運動のマニフェスト『METABOLISM/1960』(この提案には、創設メンバーに加えて槇文彦と大高正人も参加)には、創設メンバーによる「塔状都市」「海上都市」「新宿ターミナル再開発計画」などのプロジェクトが収録されており、「建築や都市は閉じた機械であってはならず、新陳代謝を通じて成長する有機体であらねばならない」という運動の理念が具体的に展開されている。その理念に、多くのメンバーの師匠格であった丹下健三の強い影響を窺うことは容易である。64年の東京オリンピックと70年の大阪万博を最大のハイライトとして、多くの計画案が実現されぬままに終息していったが、東南アジア諸国にもその影響が及ぶなど、日本初の国際的な建築運動として、近年では再評価の機運が目覚しい。

[執筆者:暮沢剛巳]

現代美術用語辞典 2.0

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