現代美術用語辞典 1.0

モティーフ

Motif
2009年01月15日掲載

「動かす」の意のラテン語に由来する。基本的には芸術創作、あるいは表現の動因を指すが、多義的に用いられる。音楽用語の「モティーフ」(動機。主題を構成する旋律単位、断片)から転用された用語。 主題と同義で用いられることも多いが、主題を構成する主題因子を意味する。具象画の場合は主題内容を構成する題材と対象物を指す。例えば聖母子画におけるマリアと幼子キリストの図像、静物画における果物がそれである。一方、抽象画、装飾デザイン、文様は全体のイメージやコンポジションを構成する抽象的な形態要素、パターンのことを指す。
芸術作品の創作過程を考えたとき、作者の内的動機と内的展開の過程でより直接的な意味での作品構想の契機となるものを指す。例えば「死のモティーフ」など、構想全体をさまざまに決定づける内的主題、支配的観念をモティーフと呼ぶ。しかしこの内的なモティーフも作品の制作過程において、何らかの形態化を必要とするため、前述した主題を構成する形態化されたモティーフと関係している。

[執筆者:山口美果]

現代美術用語辞典 2.0

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