現代美術用語辞典 1.0
ファン・アッベ市立美術館
Van Abbe Museum
2009年01月15日掲載
アイントホーフェン市民のヘンリ・ファン・アッベにより、同時代美術の浸透を目指して市に寄贈された現代美術館。当初はファン・アッベ自身が購入・委託したオランダ・ベルギーの作品が主体だったが、第二次大戦以降、歴代の館長が強いイニシアチブを発揮し、西欧の重要な現代美術館たらしめるコレクションを形成した。E・d・ヴィルデ(在任期間1946-63)はP・ピカソ等20世紀美術の基本的作品を基盤にエコール・ド・パリやコブラを収集、J・レーリンク(64-73)はパリからニューヨークへと移動する美術動向に合わせグループ・ゼロからミニマリズムへコレクションを拡大、またE・リシツキーのコレクションとJ・ボイスの大型インスタレーション《私は私の山が見たい》を獲得した。ドクメンタ7の総監督を務めたR・フックス(75-87)はD・ビュレンヌ、J・コスースといったコンセプト・アートやアルテ・ポーヴェラ、ドイツの新表現主義絵画(G・バゼリッツ、A・キーファー)を加えている。一義的な動向の見出しがたい現在、88年より現職のJ・デボーは歴史的コレクション形成の補完(M・ブロータス、リシツキー)を図る一方でT・シュッテやD・ゴードンといった現代の若手作家に目を配っている。なお、2000年に館を拡張改築の予定。
[執筆者:三本松倫代]