現代美術用語辞典 1.0

モノタイプ

Monotype
2009年01月15日掲載

ガラスや金属板などの表面にインクや絵の具などで直接描画し、これに用紙をあててプレスする版画。作品は1点しか得られないので、版画の本質を複数性に求めるとすれば、この技法は版画の範疇に入れることができないが、版を介する絵画であるという事実は変わらない。なぜこのようなプロセスをとるのかは作家によってさまざまであるが、多くは、印刷の際の圧力によって生じる絵肌の独特なマチエールのためであろう。この技法の最初の例としては、1640年代にイタリアのG・カスティリオーネの作品が現存している。また、ドガがこの技法に傾倒して約300点のモノタイプ作品を遺したことも有名である。さらに近年では、アメリカにおけるプリント・リバイバル以後の版画概念の拡張に伴い、この技法を手がける作家が増加している。なお、モノタイプに類似した用語として「モノプリント」というものもあるが、厳密には、モノタイプが通常の意味での版をもたないのに対して、モノプリントでは版を用いながら手彩色やコラージュを付加して1点制作とした版画を指す。

[執筆者:木戸英行]

現代美術用語辞典 2.0

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