現代美術用語辞典 1.0
国立西洋美術館
The National Museum of Western Art
2009年01月15日掲載
1959年、東京、上野に開館した西洋美術を専門とする国立の美術館。館長は、高階秀爾。サンフランシスコ講和条約によりフランスの国有となった、川崎造船社長松方幸二郎のコレクションが、日本に「寄贈返還」されたものを基礎とする。建物は、20世紀を代表するフランスの建築家ル・コルビュジエが設計。彼が1920年代末から主張し続けた「無限発展の美術館」案を下敷きにしている。 1979年、ル・コルビュジエの弟子である前川国男による新館が増築された。さらに1998年、本館前の地下に企画展用に約1500平方メートルの展示室が開館した。これにより、本館・新館あわせて約3200平方メートルの展示室が常設展示にあてられるようになった。展示順路の始まりも本館の中心に変更され、ル・コルビュジエの「無限発展の美術館」構想により忠実な形になった。また、阪神・淡路大震災の経験から、約19億円をかけて本館の耐震改修工事を行ない、1998年完成した。コレクションには、印象派の絵画やロダンの彫刻を中心とする松方コレクションに加え、中世からJ・ポロックやJ・デュビュッフェなど第二次大戦後の作品まで含まれる。日本の美術館では珍しく、修復の専門家を置いている。また、独立行政法人化の対象となっている館のひとつでもある。
[執筆者:鷲田めるろ]