現代美術用語辞典 1.0
デザイン・ミュージアム
Design Museum
2009年01月15日掲載
1989年、イギリスのテムズ川沿いのバトラー埠頭に、ハビタ・グループの創設者T・コンラン卿の発案により「デザイン・ミュージアム」が設立される。それ以前の5年間はヴィクトリア・アンド・アルバート博物館のボイラー・ルームを展示スペースに利用して、ソニー、フィリップ・ガーナー、メンフィスといった革新的な企業やデザイナーの個展や、デザインの国民性と若者文化をテーマにした刺激的な展覧会などが次々と開かれた。収蔵品をもたず時代に即したデザインの展覧会を行なっている。一般名詞としてのデザイン・ミュージアムは、ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館のように世界各国の工芸品を収集する旧体制的な博物館ではなく、企業あるいは団体が主催する一部の産業博物館を指す。主なものは、ヴィトラ・デザイン・ミュージアムやアレッシ・デザイン・ミュージアムなど。デザイン・コンシャスな企業ならではの未発表プロトタイプや歴代デザイナーの作品などを展示するスタイルである。日本では、工業デザイン製品を収集したJIDAデザイン・ミュージアムがオープンしている。
[執筆者:紫牟田伸子]