2020年10月15日号
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現代美術用語辞典 1.0

テレプレゼンス

Telepresence
2009年01月15日掲載

「自分の手のような感覚を持ち、手のように動く遠隔操作システム」の通称。遠隔操作ということで言えば、リモート・コントロールやラジオ・コントロールと同様だが、1979年、M・ミンスキーによる宇宙開発の提言において初めて用いられたことからも、この「テレプレゼンス」という概念がより未来志向的な性格を持っていることがわかる。90年代、「テレプレゼンス」がメディア・アートの世界で注目されるに至った経緯は、無論急速に発展したヴァーチュアル・リアリティ(VR)と無縁ではない。コンピュータでシミュレートされたVRの世界は、当然のように現実には存在しない仮想現実であり、現実の空間では不可能であった様々な表現の可能性を秘めている。98年の春、東京・ICCで開かれた「テレプレゼンス」展は、コンピュータ・シミュレーションに依存するメディア・アートにとって「テレプレゼンス」がきわめて有効なツールであることを明らかにした。ただし、現実とVRの境界は誰しも明確に定められるものではなく、この曖昧な境界をいかに確定していくかが今後の「テレプレゼンス」の課題とも言える。

[執筆者:暮沢剛巳]

現代美術用語辞典 2.0

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