現代美術用語辞典 1.0

ドライポイント

Drypoint
2009年01月15日掲載

インタリオ(凹版)技法における直接法の一種。版材よりも硬い材質のもので、版面に傷をつけて図像を表現する手法。通常は、鋭く先の尖った鋼製のニードル(針)やナイフで、銅版に直接刻み付けて製版する。ビュランを用いるエングレーヴィング技法と異なり、この技法では、ニードルなどで押しのけられた版材が刻線の片側あるいは両側にささくれのようにまくれ上がる。このまくれをバー(burr)というが、印刷時にこのバーに残ったインクが描線ににじみをつくり、エングレーヴィングのような乾いた硬質の線とは対称的な、情感のある柔らかな線の表情が得られる。ただし、バーは非常にデリケートなため、プレス機の圧にすぐに押し潰されてしまい、大部数の印刷には適さない。この技法によるもっとも初期の作品としては1480年頃のものが現存しており、A・デューラー(1471-1528)も早い時期にドライポイント作品を制作している。

[執筆者:木戸英行]

現代美術用語辞典 2.0

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