現代美術用語辞典 1.0
トランスアヴァンギャルディア
Transavanguardia
2009年01月15日掲載
93年のヴァネツィア・ビエンナーレでも活躍したイタリアの批評家A・B・オリーヴァが発案した用語で、82年にローマで開催された「アヴァンギャルディア・トランスアヴァンギャルディア68―77」展によって定着した。「伝統的な形式(すなわち絵画や彫刻)による非政治的、折衷的な表現」というその定義は、大衆文化などからのアプロプリエーションを主な手法とする作品と対応し、また同時期に全盛を迎えた「ニューペインティング」や「ネオ・エクスプレッショニズム」と呼ばれる動向と同調するものでもあったが、そもそも当時の世界的趨勢を括り直す意図によって発案された「トランスアヴァンギャルディア」も、現在はイタリアにおける同種の傾向を示すものとして局所化されて用いられるようになった。なおこの動向を代表する作家としては、80年のヴェネツィア・ビエンナーレで世界的な注目を集めたS・キア、F・クレメンテ、E・クッキのいわゆる「3C」が筆頭に挙げられる。
[執筆者:暮沢剛巳]