現代美術用語辞典 1.0

ブラック・マウンテン・カレッジ

Blackmountain College
2009年01月15日掲載

1933年にノース・カロライナ州の小さな町に創立された大学。その創立には、二つの実験的な目論見があった。すなわち「人々が共通の目的と責任を分かち合う共同体の確立と、芸術の最も高度な長所が花開くような風土を創造すること」であった。主な参加者は、J・アルバースやJ・ケージ、M・カニングハム、C・オルスン、R・ラウシェンバーグ、B・フラーなど。とくにラウシェンバーグは、ここでケージに出会い、彼から決定的な影響を受け「コンバイン・ペインティング」へと導かれたという。1952年には「コンサーテッド・アクション」と呼ばれる演劇的なイヴェントが行なわれた。多種多様な芸術活動を同時多発的に展開することがその主眼であり、梯子の上で講義しているケージの向こうではカニングハムが踊り、またその傍らではオルスンが自作詩の朗読を行ない、さらにそこにはラウシェンバーグの白一色に塗られた絵がぶら下げてあるといった内容の催しだった。1956年に主に経済的な理由から閉鎖。短命に終わったもののこの共同体は、その後の絵画、写真、詩、音楽といった多くのジャンルに計り知れない影響を与えたことは疑いない。また、その参加者の多くが、当時政治的に不穏な状況にあった西欧からの亡命者たちだったことも注目すべき点であろう。

[執筆者:川那聡美]

現代美術用語辞典 2.0

▲ページの先頭へ