現代美術用語辞典 1.0

リミックス

Remix
2009年01月15日掲載

「反復」。「カット・アップ」「サンプリング」と並ぶシミュレーショニズムの代表的技法で、この三者を三位一体のものととらえた椹木野衣の『シミュレーショニズム』( 洋泉社、1991)は、リミックスを「パロディとは、要約によってなされる、当の対象の本質直観に基づいている。しかし、リミックスは決して要約しない。それはひたすら反復する」ものと定義し、「欲望の連続無限体を導き出す」シミュレーショニズムの最終形態と位置付けた。しかし音楽用語から転用されたこの技法は、カット・アップにおけるW・バロウズやサンプリングにおけるM・ビドロのような代表的な実践者をもたず、あくまでも当時の音楽動向との対比で語られた側面が大きい。強いて挙げるなら、オリジナリティの神話を解体し、すべてを同一の地平に引きずり降ろそうとしたシミュレーショニズムの試み全体をリミックスととらえることができるかもしれない。

[執筆者:暮沢剛巳]

現代美術用語辞典 2.0

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