現代美術用語辞典 1.0

ニュートン光学

Newton's Optics
2009年01月15日掲載

ニュートンは1704年、その著書『光学』で「光線には色がついていない」と述べている。彼は混色の現象を次の実験から説明している。小穴を通して暗室に太陽光を導き、その道筋にプリズムを置いて光を通過させると光は分散し、白色光から赤、橙、黄、緑、青、藍、菫の7色のスペクトルがスクリーン上に現われる。つまり太陽光は7色の光の混合から成り、すべてを混色させると白色になる。そしてさらに、プリズムによって分けられた7色の光を別々に物体表面に照射することによって、物体の色はその表面の反射特性に依存していることを明らかにした。物体は7種それぞれの光に対して異なる反射率を持っているために、その物体の色は照明光の色に応じて変化して見えるのである。今日では太陽光は7種の光からなるのではなく、波長によって屈折率を異にするさまざまな光からなり、波長の変化に応じて色も連続的に変化すると考えられるが、この混色の実験は、白と黒の接触からすべての色が成立するとしてきたギリシア時代以来の通説を覆すこととなった。

[執筆者:平芳裕子]

現代美術用語辞典 2.0

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