現代美術用語辞典 1.0
リヨン現代美術ビエンナーレ
Lyon Biennale of Contemporary Art/ Biennnale de Lyon
2009年01月15日掲載
フランス第二の都市であるリヨン市と仏文化省が、脱中心(パリ)化とライン=アルプス地方との新たな地方主義の方針の下で1991年に開始したフランスを代表する現代美術のビエンナーレ。リヨン市長を総裁とし、ティエリー・プラットとティエリー・ラスパイの芸術監督の下、統一テーマを立てて市立美術館を中心とする市内数カ所で展示と関連イヴェントが行なわれる。93年の第2回以降はドクメンタ同様ゲスト・キュレーターの指針が大きな動向をなす。初回の「芸術の愛」では、仏国内で活動するさまざまな国籍の69名が各自120平方メートルのスペースで個展を行ない、フランスの美術における現在を展望。93年にはゲスト・キュレーターにM・ダシィを迎え「彼らは完全に世界を変えた」と題してK・マレヴィッチやM・デュシャンなど20世紀を代表する約50名の作品を展示し、史的概観性を深めた。95年はG・レイの下、タイトルを掲げずにシネマトグラフからヴィデオ、コンピュータに至る「動くイメージ」の動向を振り返り、同時にその現在形としてマルチメディアを利用したパフォーマンスやインタラクティヴ・アートが展開された。97年のH・ゼーマンは「他者」のテーマの下、世界に異種的衝撃を与えてきた60年代以降の作家たちと、特に女性作家を多く取上げ評価を受けている。
[執筆者:三本松倫代]