現代美術用語辞典 1.0
ルートヴィヒ美術館(ケルン)
Museum Ludwig
2009年01月15日掲載
1976年にケルンのヴァルラフ=リヒャルツ美術館(中世以降の西洋美術を収集)から独立した近現代美術部門(1946年にJ・ハウプリヒから寄贈された表現主義コレクションを中心とする)と、長期寄託のルートヴィヒ・コレクション(戦後の欧米美術、ロシア・アヴァンギャルド、P・ピカソの作品群など)が統合して開館。77年にはグルーバー・コレクションによる写真部門が加わっている。館に名を冠すペーターとイレーネのルートヴィヒ夫妻は50年代から美術収集を始めたドイツのコレクターだが、その収集は古代や中世の作品にも及び、またそれらをアーヘンやウィーンなど多くの公立美術館に、各館の方針に即して寄託しており、公的展示を念頭に置いた個人収集活動という特異な視点を持つコレクションといえる。
ヴァルラフ=リヒャルツ美術館とルートヴィヒ美術館は、ホールやカフェ、美術書店を含む一つの建物に統合されているが、69年に発足したペーター・ブスマンとゴットフリート・ハーベラーという二人の建築家によるこの開設・改築統合案は、ドームからライン河畔、ローマ=ゲルマン博物館といった付近一帯にまで空間構成を及ぼした都市開発レヴェルのものであったという点でも興味深い。
[執筆者:三本松倫代]