現代美術用語辞典 1.0
ニューヨーク近代美術館
Museum of Modern Art / New York (MoMA)
2009年01月15日掲載
1929年にニューヨークに開館して以来、同時代の美術にも大きな影響を与えてきた近代美術館。初代館長にアルフレッド・バーJr.を迎え、フランス近代美術の巨匠を扱った「セザンヌ、ゴーギャン、スーラ、ヴァン・ゴッホ」展で開館。開館当初は5番街に面したヘクシャー・ビルの12階を借りていたが、32年、現在の場所(西53丁目11番地)に移転する。39年に設計されたP・グッドウィンとE・D・ストーンによる装飾を一切省いた建築は、それ自体近代建築の代表となりうるひとつの作品であり、64年のP・ジョンソンによる増改築、84年のC・ペリによる増改築を経て現在に至る。さらに、日本の建築家、谷口吉生による増築が行なわれる予定となっている。P・ピカソ《アヴィニョンの娘たち》、A・マティス《赤いアトリエ》、P・モンドリアン《ブロードウェイ・ブギウギ》、C・ブランクーシ《空間の中の鳥》など、近代美術史上重要な作品を所蔵する。重要な企画展には、「キュビスムと抽象芸術」展(1936)、オプ・アートの動向を捉えた「応答する目」展(1965)などがある。また、早くから建築部門や写真部門を設置し、絵画・彫刻にとどまらない収集、展示を行なってきた。建築部門の行なった重要な展覧会に、「モダン・アーキテクチャー」展(1932)、「ディコンストラクティヴィスト・アーキテクチャー」展(1988)、写真部門では「人間家族」展(1955)、「ニュー・ドキュメンツ」展(1967)などがある。
[執筆者:苅谷洋介+鷲田めるろ]