現代美術用語辞典 1.0

ヌーヴォー・レアリスム

Nouveau Réalism
2009年01月15日掲載

消費社会の日常生活を作品に導入した作家たちが、美術評論家P・レスタニーの音頭のもとに1960年に始めた運動。主要なメンバーは、自壊する機械を製作したJ・ティンゲリー、屑篭の中身をケースに密封したアルマン、車体をプレスして作品とするセザール、破いたポスターを重ね合わせ新たなイメージを作るJ・ド・ラ・ヴィルグレやR・アンス等である。なかでも62年に急逝したY・クラインは、モノクローム絵画をはじめとして人体の拓本やバーナーを用いて制作した絵画など、さまざまな手法と素材を用いて物質と非物質とが統合された表現を行ない、その活動の多彩さでは群を抜いていた。結成10年を記念して70年にミラノで行なわれたイヴェントを最後に参加者らは個々の道を歩んでいる。素材の物質感や量感により、際立った作品を多数制作したセザールやアルマンの回顧展が近年相次いでパリで開催されたことは、戦後フランスを代表するこの運動の歴史的評価を確立しようとする試みといえるだろう。

[執筆者:飛嶋隆信]

現代美術用語辞典 2.0

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