現代美術用語辞典 1.0

未来派

Futurismo
2009年01月15日掲載

1909年、詩人F・T・マリネッティが当時の芸術の主都であったパリを経由して「後進国」イタリアへ投げ付けた「未来派設立宣言」に端を発する芸術の革新運動。伝統的な美の概念を否定し、運動造形論、同時性、速度など、機械とスピード感を積極的に造形の世界に導入しようとするもの。キュビスムの影響があるとみられる一方、ダダイズムの先駆ともみられる。画家U・ボッチョーニは「解体」の習作を繰り返し、L・ルッソロは騒音音楽を、A・G・ブラガーリアは、フォト・ディナミズモを唱えるなど、さまざまなジャンルを巻き込んでいく。さらに14年、サンテリアのドローイング《新都市》に出会ったマリネッティは、彼の「未来派建築宣言」をまとめる。G・バラの「未来派画家宣言」のほか、ロシアでも「立体未来派」が旗揚げし、詩と絵画へと運動が広がるが、立体未来派は、イタリア未来派との影響関係を否定している。後にファシズムへと移行するマリネッティの政治思想は、歴史的評価を困難なものにしたが、近年、R・バンハムによってその価値を認められていく。

[執筆者:福若郷子]

現代美術用語辞典 2.0

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