現代美術用語辞典 1.0
日本工房
Nihon-kobo
2009年01月15日掲載
1933年、フォトジャーナリスト名取洋之助を中心に、木村伊兵衛、伊奈信男、原弘、岡田桑三によって設立されたグループ。報道写真の理念の啓蒙を目的としており、海外向けの写真エージェンシーを兼ねていた。しかしふたつの展覧会を開催後、日本工房は分裂し、34年に名取以外のメンバーで「中央工房」を設立。名取は第二次日本工房を最結成し、日本文化の海外紹介季刊誌として、34年『NIPPON』を発行。山名文夫、土門拳、河野鷹思、信田富夫、亀倉雄策、高橋錦吉、三木淳など多くのデザイナー、写真家が参加した。『NIPPON』は、美しい印刷と大胆なレイアウトによって日本の近代グラフィック・デザインのレヴェルを高め、また写真、報道写真、グラフィック・デザイン、インテリア・デザインの分野に新しい局面を開拓した。1939年、国際報道工芸株式会社と改名し、戦時下の内閣報道局の下請けの役割を任じ、終戦とともに解散する。分裂した岡田らは41年、対外宣伝ヴィジュアル誌『FRONT』を発行するため東方社を設立し、45年までに10号を発行。『LIFE』などのスタイルを取り込んだ先進的なグラフィック・イメージを展開している。
[執筆者:紫牟田伸子]